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船着き場に到着した私達は、まだ揺れている感覚に襲われながらも、地面の感触を確かめた。
『あんた達が今日泊まりに来るって高橋さん達かい?』
少し離れた場所から、少ししわがれたような声が聞こえ、私達は振り向いた。
『あ、はい。今日から一泊二日でお世話になります。高橋です。』
父が、声の先にいた、黒く日焼けをし半分ほど白髪になったオジサンを見て、軽く頭を下げた。
『まんだ日も高いけん、荷物だけ置いてブラブラ観光でもしたらどうじゃ?』
眩しそうに太陽のほうを見ていたオジサンは、少し黄色くなった歯を見せながら、ニカッと笑ってこちらを見た。
『そうですね。そうさせてもらいます。』
公務員である父は、丁寧にお辞儀をして、黒いオジサンに微笑み返した。
『よろしくお願いします。』
母も隣で軽くお辞儀をした。
私達姉妹は、遅れて小さくお辞儀をし、お願いしますと呟いた。
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