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事件
私達姉妹がお土産を選んでいた時叫び声がしたので、父と母は慌てて私達のところに駆け寄ってきた。
『良かった…』
私達が無事なのを確認すると安心したのか、今度はザワザワと人だかりが出来始めた方を向いた。
遠くから聞こえたのは
『救急車…警察だ!』
『もう無理なんじゃ…』
『いったいなぜ…』
私達家族も見物人に混ざるため、魚市場の奥に進んだ。
そこは、魚市場の漁船を止める船着き場で、小さなドームのように屋根のある空間だった。
漁船が三隻ほど止まっている。
その漁船の近くのコンクリートの陸地に人だかりができていた。
私達は少し近づいて覗いてみた。
そこには
びしょびしょに濡れ、白くなって、お腹のあたりに血の痕が染み付いた、ワンピースを着た、おかっぱの少女だった。
『もう…死んでるわ』
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