第一章 -旅立ち、そして-

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そんなこんなで混乱しながら研究所に再度入る。 「博士遅いー」 「いやぁすまんすまん」 茶がかかった髪の女性の非難を軽く流しながら。 「ほれ、ケイ!」 こちらを見て。 「そこに三つの陰陽玉があるじゃろう。それらは人形トレーナーとして昔ならしたもの!」 自慢げなのはいい。 だから人形って何だ。 ポケモンじゃないのか。 「今は三体しか残っとらんが、お前に好きなのをやろう。さぁ選べ!」 「…はぁ」 台詞はほとんどそのままなのに、何だろうなこの違和感。 「あーずるいー!博士ー私にもー!」 「まぁ慌てるな蓮子!お前とメリーにも選ぶとよい!」 …蓮子に、メリー…ね。 聞き覚えのない名だな。 「先どうぞ?私達は別に後でも構いませんから」 メリー…という人にそう言われ、とりあえずモンスターボール…ではなく陰陽玉を覗く。 「…人?」 明らかにポケモンではなく、人型だった。 ただ、普通の人に比べ、異様に小さいが。 「ほう、ちびれいむにするのか?」 博士に尋ねられる。 育てやすいって…いや、待て。 何だこれ。 「他も見て…少し考えます」 言って、他も見る。 順にちびさくや、ちびまりさ。 …待てよ。 れいむ、さくや、まりさ。 この名前確か…東方、だったか。 どこかで聞いたと思ったら。 東方とやらは偶に名前を聞くぐらいで知識がないため、ほとんど知らない。 「……」 まずい、属性がどうなるのかさっぱり分からん。 まぁ好みで構わないのかもしれないが、別に誰が好きというのもないし、困ったものである。 「…俺は後でいい。そっちが先に選んだらどうだ?」 結局それが、俺が出した結論だった。
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