第零章 -プロローグ-

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……… …… … ぼんやりと目を覚ます。 カーテンで光を遮られた薄暗い部屋。 腕の枕の下にはキーボード。 背に感じる木の感触。 目の前のディスプレイ。 …それが、いわゆる『寝落ち』だと認識するまでそう時間はかからなかった。 昨日は何を調べていたかいまいち思い出せない。 …どうでもいいことなのだろう。 深くは考えないことにした。 とりあえず着替え…る必要はなかったらしい。 着ていたのは、普段着。 さすがに寝間着で寝落ちはしなかったようだ。 とりあえず、カーテンを開けようと立ち上がる。 しかし、そこでふと違和感を感じた。 「…ここは、どこだ?」 部屋にあるのは、目の前のパソコン、ベッド、本棚、地図、一昔前の型のテレビとゲーム機。 そして、部屋の隅に一階へ降りるための階段。 どれだけ見回しても、その程度の物しかない。 「どういうことだ。ここは…」 気になりながらも、部屋のカーテンを開ける。 すると、そこには当然ながら街並みが広がる。 …しかし、自分が住んでいる街とは明らかに違うし、家が少なすぎる。 そして、自然が豊かすぎるのである。 「考えろ…一体何がどうなってる……」 眉間を抑えて、とりあえず混乱を収めようと試みる。 そして、考える。
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