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明かりを追って~
紫
「追っても中々近付けないけど、どこまで行くのかしら?ちょっと疲れてきたわねぇ。」
明かりは何処まで追っても近付くことはなく、紫が近付くとそれに合わせて遠ざかっていた。
紫
「どこかに誘導してるのかしら?だとしたら命知らずね。」
?
「それはどちらかは分からないですねぇ。」
紫
「!!!」
突然聞こえた声に気付くとその光は止まっていた。今なら確認出来る、その光を放っていたのは古ぼけたランタンだった。
?
「こんな暗い山道にお嬢さん一人、どちらが命知らずかは常識的に考えれば貴女が危ないと思うのですが。」
紫
「私をこけにするなんて尊敬に値するわね。私は八雲紫、名乗ったのだから貴方も姿を見せて名乗りなさい。」
?
「おやおや、最近はこんな強気なお嬢さんは珍しい。いいでしょう、私の名前は…」
そう言いながらランタンの光に照らされてでてきた姿は、くすんだ焦げ茶色のコート、分厚い革の手袋と靴に毛玉だらけの黒のマフラーを身にまとい、萎れたシルクハットを被った、
紫
「…………」
ジャック
「ジャック・ロアと申します。以後お見おしきりを。」
目や口をくり抜いた南瓜を被ったような人間だった。
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