2193人が本棚に入れています
本棚に追加
/523ページ
季節は12月。
北国の澄んだ空に、ひらひらと雪が舞い降りる。
「ぶえっくしゅ」
色気のないクシャミが教室内に響いた。
「佳奈、風邪ー?」
クラスメイトの美里(ミサト)が登校して早々、佳奈の席へやってきた。
佳奈はフーンッと鼻をかみながら頷く。
「昨日、予備校の帰りにブラブラしてたら冷えちゃったみたいでさぁ」
「ブラブラって、一人で?」
「……友達と」
と『嘘』をついて、佳奈はもう一度鼻をかむ。
友人の美里はさして気にするでもなく、話題を変えた。
「そういえば、私 佳奈と同じ予備校に行く事になったんだよー」
「え、そうなの!? やったね」
「うん。来週から通うから、わからない事あったら教えてね」
「まかせといて」
夏から通っていた先輩の佳奈がニコッと微笑む。と同時にチャイムが鳴った。
最初のコメントを投稿しよう!