~序章~

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 電車を降り、会社へ向かう途中に僕は壁にもたれてしゃがみ込んだ。道行く人は僕に目もくれずに、それぞれ目的地へと足速に歩いている。そんな光景を眺めて、僕は自分の存在を否定した。    やる気も起きず、会社に休ませてほしいと連絡を入れた。上司から理由を聞かれたが、本当の事など言えるはずもなく、嘘をついてしまった。    再び電車に乗って帰ろうとしたが、部屋には彼女との思いがたくさん詰まっていて、今の僕には耐えられないと思い、途中の駅で降りた。
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