1-1 異変の始まり

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 『異変』とは、この幻想郷ではよく発生する事件を称したものである。 特に有名なのは、吸血鬼が起こした幻想郷が紅い霧で覆われた『紅霧異変』。 冥界の亡霊少女が起こした幻想郷に春が来ない『春雪異変』。 月の姫君が起こした夜がいつまでたっても明けない『永夜異変』等、様々である。  霊夢は巫女という役柄上、これまで多くのの異変を、親友の魔理沙と共に解決に導いてきた。  普段から暢気であることに定評のある『博麗の巫女』と呼ばれている霊夢だが、これまで多くの強敵達と戦い、それに勝利してきたことは、事実上確かなことであり、暢気とは言え、その力を侮ってはならないのは、異変を一度でも起こした者ならば知らぬ者はいない。  そして今回、博麗神社の裏に大きな空洞ができるという『異変』の前兆とも言える事態が発生したのだ。 霊夢「とにかく、このままじゃどうしようもないから、皆に相談するっていうのはどう?」  自分達だけの判断ではどうしようもないと思った霊夢は、幻想郷でも特に強い力を持った者達に相談することを魔理沙に言うと、魔理沙は笑顔を浮かべて答える。 魔理沙「私は賛成だぜ!!私達だけの判断じゃあどうしようもないもんな!!んじゃ、さっそく紅魔館の連中に知らせてくるぜ!!」 バヒュ~~ン!! 魔理沙は有無を言う暇すらも与えずにさっさと箒に跨がると、あっという間に空へと飛び去って行ってしまった。 霊夢「はぁ、相変わらず気が早いわね……。萃香はどうすんの?」 ため息を吐きながら、霊夢は魔理沙が飛び立っていった空を見つめながら、隣にいる萃香に聞く。 萃香「じゃあ、私も皆に知らせてくるよ!!多分魔理沙だけじゃあ、紅魔館の連中を連れて来るだけで精一杯だと思うから。」 霊夢「それもそうよね。じゃあ萃香、後はお願いするわ」 萃香「了解!」 サアアアァァァァァ……。 萃香は能力で、霧状になると、その場から消え去っていく……。 霊夢「さてと、私は皆が来るまで、ゆっくりお茶でも飲んで待つとしますか」  霊夢は先程の大轟音で邪魔されてしまった穏やかなお茶タイムの続きをしようと神社の表に足を運ぶ。 途中、賽銭箱の中を覗き込むが、相変わらずの状況に霊夢が舌打ちしたのは言うまでもない。
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