1-1 異変の始まり

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 この愉快で楽しそうに会話を弾ませている三人組だが、藍色の髪を日本人形のように綺麗に整えた少女が、『百年の魔女』や『奇跡の魔女』と呼ばれている『古手梨花』であり、金髪をストレートにした女性が『絶対の魔女』と呼ばれることもある『鷹野三四』である。 二人共、ここ時空郷とは異なる次元世界『雛見沢』から来た住人である。  そして、長い黒髪をポニーテールにした梨花と同じくらいの少女こそが、この時空郷の主にして『始まりの神』と呼ばれる存在、『創主』である。  ずいぶん変わった名前と思われるが、この名前は偽名である。 何故、創主が偽名を使っているかと言うと、創主曰く、本当の名前を教えることは、自身の魂の一部を相手に掴ませることであり、それは相手に支配されてしまう行為にも繋がることになるらしいからである。  創主は常に自由意思を尊重する為、他人に支配されることを嫌い、本当の名は明かさないようにしている。 それは親友とも呼べる程の関係でもある梨花やに対してでもある。  梨花も、常に自由奔放に生きることを好む創主のことを誰よりも理解しており、創主の真名を無理に聞こうとはしなければ、空気を読まないで創主の本当の名前を聞こうとする仲間達に注意を促すこともある。  ただ、創主の偽名は次元世界によってそれぞれ異なり、創主が梨花達の世界にいる際、創主は『無遠神那』と名乗っている。 その為、梨花達も時空郷では創主のことを普通に創主と呼ぶが、雛見沢では神那と呼んでいる。  尚、この名前は創主が一番よく使用する名前であり、雛見沢だけではなく、他の次元世界でも使用している。 それは、時空と次元世界を管理する組織『時空管理局』がある世界でも用いている。  ただ、常に自由奔放な性格である為、色々とひと騒動を起こしたこともあり、ある時は管理局の白い魔王陛下の一味と壮絶な鬼ごっこをしたこともあるらしい……。 又、神であるが故に異常魔力を有し、それが原因で管理局上層部と一悶着を起こし、上層部の人間をタコ殴りにしたという破天荒ぶりさも見せつけたという。  以降、創主と管理局はお互いに不侵条約を結び、現在はその均衡を保っているという。
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