1-1 異変の始まり

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黒梨花「まったく、私達ならばともかく、鷹野達までココへ連れて来るんなんて。相変わらず考えが読めないわね」 鷹野のラムダデルタ姿に妄想を爆発させたまま、未だ現実に帰ってきてない創主を見つめながら、梨花は呟く。 鷹野「クスクス……それは言えてるわね……元々私達は敵同士、こうやって一緒にお酒を楽しむ仲ではないはずなのにね……。でもね……」 黒梨花「?」 鷹野「あの日以来、私は二度と貴女を『腸流し』しようとは思わないわ……。だってアレだけ打ちのめされたんですもの……。コレでまた貴女を『腸流し』するなら、きっと貴女の大切な仲間達が私を殺しに来るでしょうしね……。  だから二度とあんな真似はしないわ……。 祖父の研究も……もう、どうでもいいモノになってしまったんですもの……」 黒梨花「鷹野……」  鷹野が語るのは、雛見沢症候群を研究していた祖父の研究成果を、世間に認めさせるため、雛見沢症候群の女王感染者である梨花を殺害し、雛見沢村の全住民を皆殺しにする計画が、梨花とその仲間達によって阻止されたことを表している。  また、梨花と鷹野の詳しい戦いについては『解体真書』の方を見ていただきたい……。 鷹野「私には、最初から貴女のように、本当の『仲間』と言うべきものが、存在しなかった。仲間だと思っていた人達に裏切られた。……だから貴女達に敗北した、ただそれだけのことよ……。  全てが終わってしまった今、私には祖父の研究を完成させる力なんてもう残っていない……だからもういいの。もう……終わってしまったことだから……」 鷹野は静かに語ると、コップに入った酒を静かに飲む。 創主「でも……だからといって、皆が皆、鷹野の存在を否定したワケではないだろ?……鷹野の存在を認めてくれた人だっている……。今、鷹野がこうして梨花や私と杯を交わせるのは、その人の存在と支えがあったからだろ?」 黒梨花「あら?妄想から帰ってきたみたいね」 創主「うるさいね~!ほっとけ!!」 梨花にツッコまれ、創主はすかさず反論した。 鷹野の方は、ただ黙ってコップに入った巨峰酒を見つめ続けている。 創主「この世に存在する全ての存在が『悪』とは限らない、悪い存在もあれば良い存在もある……。『陽』と『陰』・『光』と『影』・『善』と『悪』、それぞれ対になる存在があるからこそ、全ての世界は成り立つ……」
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