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創主「……あ!!」
梨花に言われて、創主はすっかり忘れてたと言わんばかりの表情になる。
黒梨花「はぁ……。まったく、自分で〝アレ〟だけの大穴を開けておいて、その事を忘れてるなんて……。貴女はどこまで自分勝手で自由思考なのよ」
創主「HAHAHAHAHAHA!!過去の事はキニシナーイ質なんでね~(笑)」
黒梨花「少しは気にしたらどうなのよ!!」
梨花はため息を吐きながら、額に手を当てて言う。
神社から見える広い森に空けられた大空洞は、博麗神社の裏にできた大空洞よりも更に大きく、半径10㎞は余裕である程の大きさである。
創主曰く、これはまだまだ甘い方らしく、創主自身も、アレでかなり限界ギリギリで力を最小限にしたもので、もし本気をだせば、時空郷どころか、他の異次元世界までもが一緒に消滅してしまうと、本人は豪語している。
もっとも、そこまでするほどの本気を、本人は決してせず、本気をだす状況に陥れば、結界を張り、他世界に影響が出ないようにしてから本気を出すのであるが……。
鷹野「でも本当に、コレからどうするの?向こう側の人達もきっと驚くでしょうけど」
創主「あの辺の森一帯は沙都子の縄張りだからねぇ……。まぁ、あちら側の世界の人達がこちら側に来たら、最初に彼女のトラップの洗礼があるだろうしね…。クックック……これは面白くなりそうだ!」
黒梨花「まったく、戯れも大概にしなさいよ……。でも、いい暇潰しにはなりそうね……圭一達はとっくに配置についている頃だろうし、私達もそろそろ準備したほうがいいでしょうね。……行くわよ羽入!」
梨花は巨峰酒を一気に飲みほすと、縁側から立ち上がり、奥の座敷に目を向ける。
羽入「あぅあぅあぅ~……。梨花ぁ……飲み過ぎなのですよ~……少しは遠慮というものをしてくださいなのです~……。あぅあぅあぅ~……」
座敷では、淡い藍色の髪と頭に角を生やした霊夢のような袖が分離した奇妙な巫女服を纏った少女『羽入』が、横たわってうめいていた。
鷹野「あらあら……これでは、まだ当分の間は無理のようね」
創主「まぁ……梨花達の出番は最後の方だから、まだゆっくりしといていいよ……。
『宴』が始まるまで……ね」
創主はニヤニヤと笑みを浮かべながら、森に空いた大空洞を見つめ続けていた。
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