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何故､『時空郷』の世界が絶対不可侵なる世界であり､高度な文明を持った者達でも辿り着くことが困難と呼ばれるのか?
それには､ある特別な理由があった……｡
まず一つに､『時空郷』は『六星幻時界』を生み出した全ての『始まりの神』が住まう『神地』である｡
神の住まう土地に足を踏み入れる時点で､神が支配する領域に立ち入るということを表す｡
故に絶対不可侵は当然と言えば当然であり､ただの人間が立ち入ることもおこがましいと言えよう｡
『神が住まう土地』という意味を持つ『神地』であり､更にそれが『始まりの神』が住まう土地であるが故､『時空郷』は別名『神界』と呼ばれている｡
次に､『時空郷』はこの世に存在する目に見えない巨大な力……『存在の力』を生み出す土地である｡
『存在の力』とは､全ての『存在』がそこに在り続ける為の力であり､『空』も『海』も『大地』も『境界』も､『存在の力』が在るがゆえに､存在することができる｡
つまり､『存在の力』とは､この世に存在する全ての生命の根本を司る力なのである｡
『時空郷』はこの生命の根本を司る力を無限に生み出す土地であり､新たなる存在は全て『時空郷』より生まれ､それぞれの世界へと散っていく……｡
逆に､何らかの理由で『存在の力』を失ってしまった存在は､自然と『時空郷』の世界に還ってくる｡
そこで新たに『存在の力』を得て､再び次元世界へと旅立って行くのだ｡
簡潔に言えば､『時空郷』の世界とは､全ての『存在』が生まれ､やがて還って､新たなる『存在』として生まれ変わる世界ということになる｡
当然､それ等を管理しているのは､『始まりの神』と呼ばれる『存在』だけである｡
ならば､『始まりの神』とは如何なる『存在』なのか?
『始まりの神』は､自分が何時･何処で生まれたのか知らない｡
ただ､気付いた時には自分という存在だけがそこに在ったことだけを理解していた｡
自分以外何も存在していないことを知った時､『始まりの神』は自分が『無』より生まれ出た特殊な存在であることを知った｡
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