第1部[時空幻想編]

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 自身が如何なる存在であるかを理解した『始まりの神』は、世界という存在を生み出す為に二つの存在を創造し生み出した。 それは、単なる戯れからきた行動なのか、それとも孤独を嫌った故の行動なのかは分からない……。  『始まりの神』はただただ、それが自身の成すべきことと思い、自身とは異なる存在を生み出した。  生み出した存在は、それぞれ『時間(とき)』を司る力と『惑星(ほし)』を司る力を持ち、世界という存在を生み出すのに、重要な役割を持つ存在。 この二つの存在と共に『始まりの神』は、『六星幻時界』の基盤を創り、『六星界』の創造神をそれぞれ生み出したのだ。  全ての『存在』の『始まり』である『始まりの神』は、全ての『存在』の母とも呼べる存在になったが、その強大過ぎる能力故に、後に生まれる他の多くの存在から忌み嫌われるようになる。  『始まりの神』という名を持ちながら、神々からは『異忌神』と呼ばれ、人々からは欲望の対象として標的にされ、気の遠くなる程の長い間、孤独を強いられることとなった。  自身に取り巻く孤独と絶望が、次第に『始まりの神』の性格を歪ませてゆき、残忍で冷酷な性格を持った『創造神』と『破壊神』の二面性を持った存在へと変貌させてしまう……。  だが、そんな『始まりの神』を愛したたった一人の存在が彼女の歪んだ性格を穏やかにさせたことが一時期あった。  しかし、人の持つ愚かしき欲望の果てに、『始まりの神』を愛した者は、彼女の目の前で、その命を散らしてしまう。  再び絶望の淵に叩き落とされた『始まりの神』は自身の力を暴走させ、数多の異次元世界を何度も破壊しては創り直すという行動を繰り返した。  その結果、多くの神々と対立し、他の次元世界にさえ影響を及ぼした大戦争を勃発させることとなる。  この大戦争に参戦したのは、普通の神々だけではなく、天使・悪魔・妖怪・仙人・人間等、『六星界』に住む本来なら交わることのない存在同士が、一つの目的の為に大同盟軍を結成し、傍若無人に力を振るう『始まりの神』に挑んだ。  戦争は幾度も幾度も繰り返され、後に『終焉戦争』と呼ばれる最終決戦にて、『始まりの神』は自身の全力を出しきり同盟軍に敗北。  以降、『始まりの神』は長い間深い眠りにつくこととなったが、大戦争による犠牲はあまりにも大きいものであった……。
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