1-1 異変の始まり

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 『幻想郷』……そこは結界によって、ある一つの世界から隔離された世界。  幻想郷に住む住人達は、かつて世界で信仰の対象となった神や、人々から恐れられた鬼・妖怪・吸血鬼等、現在(いま)の時代では既に忘れ去られた存在の者達が、それぞれの場所で暮らしている。 そんな世界の一角にある幻想郷とその外側に広がる世界の境界にある神社『博麗神社』でそれは起こった……。 ドゴオオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォォォォォォ……ン!!!!!  突如、大轟音が響き渡り、幻想郷全体が大きく震えた。  そのあまりにも大きすぎる音と揺れに、縁側で座っていた博麗神社の巫女、『博麗霊夢』はゆっくりと飲んでいたお茶を吹き溢し、その隣で寝ていた鬼の『伊吹萃香』は縁側から転げ落ち、霊夢の元に訪れた普通の魔法使いである『霧雨魔理沙』は股がっていた箒ごと地面に激突し、犬神家のような間抜けな格好となってしまった。  轟音と揺れによって、散々な目にあった三人だが、ひとまずその轟音の正体を探るべく、その音源と思われる神社の裏側に回る。 そこには、予想通りと言わんばかりの大きな空洞がぽっかりと出来ていた。 魔理沙「うひゃ~……これまた物凄い大穴が出来たもんだぜ」  白と黒を基調とした服に、白いリボンが施された黒いトンガリ帽子を被り、片側だけを三つ編みにし、それを白いリボンで結んだ金髪の少女、魔理沙が神社の裏側にできた大きな空洞を見つめながら言う。 萃香「おかげで私は、折角の睡眠を邪魔されたわ!」  頭に太く大きい二本の角を生やし、鎖で装飾させた奇抜な服と、紫色の瓢箪をぶら下げた幼い少女、萃香が、顔を膨らませながら、文句を言うと、魔理沙が霊夢の方を向きながら聞く。 魔理沙「なぁ霊夢、コレどう思う?」  魔理沙の問いかけに、紅い服に白い袖が分離した奇妙な巫女服を纏い、頭に服と同じ紅い大きなリボンを付けた黒髪の少女、霊夢は腕を組ながら答える。 霊夢「そうね……何かの〝異変〟の予兆……と考えた方がいいかもしれないわね」
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