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キーンコーンカーンコーン。
耳をつんざくような大きなチャイムでハッと我に返った。ここは学校だ、瞬間に脳が現実を思い出す。
深紅の机を確認するも彼の姿はない。机の中も空っぽだ。
はあ、とため息をつく。夢を見ていたのか。すっかりあの日に戻ったような気がしていた。
ふと時計を見れば時刻は4時。授業が全て終わる時間だ。恐ろしい。自分は無意識で教室を移動したりお昼を食べたりしていたのだろうか。
クラスメートたちは友達と何やかんや話しながら各々の向かうべき場所へ去っていく。今は清掃の時間だが、運良く今週は成輝は掃除当番を免れている。加えて、少々寂しくもあるが彼は帰宅部だ。これ以上学校に留まる理由はない。
(‥‥様子、見に行こうかな)
いつもなら清掃であと30分は帰りが遅くなるのだが、今日はタイミングがいい。
成輝は深紅の様子を見に行くことにした。
もし熱を出していたり、怪我をしたりなどで、よほど具合が悪くて連絡できる状態ではなかったのだとしたら自分が看病をしてあげなくてはならない。それ以外に、無断欠席の理由など見つからない。
意を決して、成輝は学校をでた。
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