第一部

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 深紅についてリビングへ入ると、テレビゲームが耳を劈く勢いの大音量でついていた。戸を閉め切っていたからなのか、玄関で聞こえてこなかったのが不思議だ。 あまりのうるささに成輝が思わず耳に手をやると、深紅は待っていましたとばかりにコントローラーを握りあぐらをかいてゲームを再開した。 ゲームを始めればいっそううるさくて、成輝は手元にあったリモコンで音量を下げた。 「‥ずっとゲーム、してたの?」  疑惑の目で尋ねれば、その視線をはねのけるほどの笑顔で彼は頷く。 「ゲームって面白いよな! これどういう構造になってんのかな? それさえわかれば俺だって開発でき…」 「どうして学校に来なかったんだよ?」  重ねて尋ねればその笑顔が凍りつく。あの真面目な深紅が、一週間も学校をサボってゲームしてただなんて信じられない。
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