第一部

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 深紅が固まってしまったおかげでテレビにはゲームオーバーという文字と共に残念な効果音がかかってしまう。それに気付いた深紅はやっと動き出して、 あーあ、とため息をついた。そのままコントローラーを投げ出すと、成輝に向き直り再びぎこちない笑みを浮かべた。 「ゲームにはまっててさ‥学校とか忘れてたんだわ、マジわりぃ!」 「君が学校の存在を忘れてたっていうのか? 今まで皆勤だったのに」  にこやかではあるが、深紅は明らかに焦っているように見える。成輝には冷や汗すらかいているように見えた。 「ねえ、深紅ちょっとおかしいよ。何かあったんだろ? 僕に相談してくれないの? 僕たち親友だろ?」  請うように言えば、困ったような顔をする。頭をかきながらしばらく 困ったなー、なんてぶつぶつ呟いていたが、やがて深紅は意を決したように成輝を見つめた。
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