第一部

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 どこにでもいるありふれた学生の部屋―――― その内のひとつである銀髪の青年の部屋は、勉強道具や漫画やゲーム機などが散乱していた。  そこに、窓から紅い夕陽が差し込む。  一見、ありふれた光景に見えるが、その部屋に佇む青年二人は、まるで美術館にある一枚の絵画のような奇妙な空気を醸し出していた。 彼らは顔も髪も体つきも、何もかもが同じなのだ。  ふいに、片方の青年が両手をパンッと合わせた。 すると、もう片方の青年の、部屋である筈の後方に、ブゥンという低い音を出しながら、静かに黒い穴のようなものができた。  青年は悲鳴をあげ、小さく身動ぐ。しかし、みるみるうちにずぶずぶと青年の体が黒い穴に飲み込まれていってしまう。  必死でもがきながらも穴から抜け出せない青年を見やりながら、もう片方の青年はにやりと笑った。 「あとは頼んだぜ、俺」 ――――――――――
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