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友人が消えた。
騒がしい教室の中独りこっそりと佇む少年、明日香成輝(アスカ ナルキ)は、長く伸びた前髪の間から困惑の視線を覗かせた。
その視線の先は、一つの空席。騒がしい教室から切り取られたようなもの寂しい雰囲気が漂っているが、そこは成輝の友人が座るはずの席だった。
1日でも欠席しようものなら一大事にもなりかねないこの高校という場で、その席が空席になってから既に一週間が過ぎようとしている。理由は不明。当の友人とは音信不通。家も訪ねたが、誰も出てこなかった。
成輝は再び書物に目を落とし溜め息をついた。
彼との間柄がただの「友人」という上っ面の言葉で表現しきれるくらいのものなら成輝とてこれほど落ち込みはしなかった。
その友人とは、酷似した境遇を共有し、幼い頃から助け合ってきた―――いわば幼なじみとか、親友といった存在。成輝にとっては唯一無二の存在だった。
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