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最後に会った日の放課後、成輝と深紅は教室に残って学園祭に使う作品を作っていた。
一つの机を挟んで向き合って座り、作業の対象を同じ机で共有する。
少し狭いけれど道具の貸し借りのやり取りが省かれる分、この方が早く仕事が進むのだ。
「あーあ、面倒くさいなぁ。よりによって何でこんな忙しい時にこれの期限が明日なんだか……」
作業を始めてから数十分も経ったころ、成輝が椅子の背もたれに体を任せて大きく伸びてため息をつくと、深紅は作業を続けている手元から目を話さず、淡々と言った。
「そんなことは言っちゃいけない。俺らは与えられた仕事を精一杯頑張らなくては」
「それはそうなんだけどさあ……」
成輝が気晴らしにと外を見れば紅い空、グランドには野球部とサッカー部が活動中のようだ。バッティングの音やボールを蹴る音が聞こえてくる。
視線を戻せば紅い日差しが深紅の頬を染めていて、成輝にはなぜか儚く感じた。
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