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ふと、深紅が視線をあげ成輝を捉えた。何? と聞けばふわりと笑って。
「たくさん勉強して、いつか警察官になりたいって成輝に言ったっけ。俺に似合ってると思わないか?
成輝が何になるのであれ、俺は強くなってずっと成輝を護るよ。それで、俺たちはずっと一緒だ」
まあ成輝だけじゃなくて日本を護るんだけど、と付け加え深紅は再び作業に戻った。
そんな話は初めて聞いたが、成輝は深紅の胸の内を聞けてなんだか嬉しかった。‥同時に、羨ましいとも思った。
「いいな、深紅は。僕には夢なんて何にもないや」
あはは、と苦笑してみせると深紅の大きな瞳がじっとこちらを見つめる。
情けないね、と空元気で言うと深紅は首を振った。
「これから決めればいいと思う。でも覚えておいてくれよ。成輝が何になっても俺はずっと成輝の友達だから」
深紅のまっすぐで暖かな言葉に涙がこみ上げる。
泣き虫を悟られないように俯き、照れ隠しでへへ、と笑う。
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