プロローグ

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樹海――普段は静かなこの場所に飛竜の叫び声と銃声とが木霊する。 「よっ、と。これで依頼完了かな」 放たれたボウガンの弾が当たると飛竜…ナルガクルガは叫び声をあげ、逃げていく。 繁殖期のモンスターは気性が荒くなっていて、人をよく襲う。 先日、樹海に入ってこのナルガに襲われた旅人さんがギルドに依頼を出してきた。 「こんな時期に樹海なんかに入らなきゃいいだけだと思うけど…」 まぁ、依頼のおかげで今日もおいしいご飯が食べられるのだから、感謝はしてます、ハイ。 今回はちょっといつもと変わっていて、ナルガを樹海から追い払うだけでいいとのこと。何でも、その旅人さんはある宗教の出で、殺生を嫌うそうだ。それでも何故か報酬はいつもより各段に良く、私はギルド長のおば…お姉さんに二つ返事で仕事を受けた。 敢えて殺さないよう手加減するのは難しいけど、でっかい龍を追い払う仕事に比べれば楽ではある。 「簡単に片付いたし、ついでに採集でもして帰ろうかな♪」 ふとそう思ってモンスターの巣の奥に入ると、薄暗い空間に、何か黒いものがもぞもぞしている。 「(チャチャブー…にしてはおっきいなぁ…)」 背中のボウガンに手をかけつつ近寄ってみる…木々の隙間から微かに差す月明かりに照らされ、それが何であるか朧気ながら理解出来た。 「人――!?」 黒い毛玉の様なものの中にくるまっているそれは紛れもなく、人の形をしている。生きてる――? 「どこかから連れ去られて来たのかな…」 駆け寄り、無事の確認をする。特に外傷もなく、眠っているだけみたい。 よく見ると女の子みたいだし、ここに置いて帰る訳にもいかず、私は彼女をくるまっていた毛玉ごと連れ帰ることにする。 「うぅ…まさか女の子が採取できるなんてね…」 私は苦笑いしながら、彼女を背負いキャンプに戻り、ネコタクチケットをポーチから取り出すのだった…。
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