その1 記憶の無い少女

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にゃーにゃー鳴きながら走るネコタクに揺られ、村に帰ってきた。 「でっかい荷物にゃね?何だかすンごい重いにゃ、何が入ってるにゃ?」 と、息のあがっているアイルーに聞かれたので 「んー…迅竜の大毛玉?」 適当に答えておいた。何かブツブツ言っていたがスルーしておこう。 隠す必要もないのだけど、なんとなく隠しておく事にした。 ネムリ草を嗅がせてあるから、着くまではおとなしくしてくれているはず。 村に着き、早足で自宅に入る。 「ニャニャッ、どこのサンタさんかと思ったらご主人様ニャ。お帰りなさいニャ、そのおっきな袋はボクたちへのプレゼント…」 ドサッ 「………」 いつも騒がしい猫が絶句している。サンタが袋から顔にネムリ草の束を縛り付けられた人間出したら子供ならトラウマものだよね。まぁ、私はサンタじゃないからオールオッケーでしょ。 ネムリ草を外して懐にしまい込み、猫に言う。 「ベッドに寝かせて、無いと思うけどケガがあったら手当てしてあげて。」 「あと、持って帰ってきた事は誰にも言っちゃだめだよ(はぁと)」 最高のスマイルで猫にプレッシャーをかけたあと、迅竜の大毛玉を持って武器屋さんに行く。とりあえずこれで着せるものを作ってもらおう――。
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