その8 ヤクソク

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ナルの顔が浮かんでは消えて行く。拗ねた顔、泣いた顔、起こった顔。照れた顔やぼーっとしてる時の顔!…そして、笑ってる顔。 あの子と過ごした日々は短かったけど、あの子は私の大事なパートナー。友達! 例えあの子が私を忘れても、必ず思い出させる。約束したんだ。 その為にも…生きる。 「私はキミなんかにやられないし、ナルだってキミなんかにやられてない!ナルは生きてる!」 眼を開けると、既に目前にヤツは迫っていた。 今度こそ私を切り裂こうと、腕の刃翼で薙ぐ。 銃声が響く。放たれた弾丸がヤツの腕を掠め、軌道が逸れる。 もう片方の刃翼を振り下ろす。また弾丸がヤツの攻撃を逸らす。 攻撃を空振りし、無防備なヤツの顎に下から素早くリロードした貫通弾を撃ち込む。1…2…3… 撃ち込む度にまるでアーレから龍の咆哮の様な音が唸る。4…5…。 「装填分、持ってけえ!!」 6!硬化した皮膚、鱗が割れ、ヤツが大きく仰け反り、距離が離れた。 「猫!キミの大樽、ブン投げて!」 「む、無茶ニャー!」 「ブン投げないとキミごと私がブン投げなるよ!」 猫は大急ぎで隠し持っていた大樽を取り出す。一体どこに持っているのやら。 「や、やぶれかぶれニャー!」 猫が投げた大樽はやはり力が足りないのか浮いただけだ。 「充分!よくやった!」 私は大樽に衝撃を与えない様樽にふわりと足をつける。 そして一気に蹴り押す! 勢いよくヤツに向かい飛ぶ樽に合わせ、古木を背に反動を殺し拡散弾を有りっ丈撃つ。 凄まじい爆発にヤツが飲まれた。 「これが効かなきゃホントどうしようかしら…」 爆発で起きた煙幕が収まっていく。 少しずつヤツの影が見えてくる。 その姿はかなりボロボロで、体力の低下からか硬化は解け、紅色の輝きが鈍くなっていた。 こちらにゆっくり歩み寄ってくるヤツが、突然ひざを突いた。
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