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「何…。」
思ったより効いているのか…、慎重に動向を探る。
「ん…」
ヤツの足元にプーギーのマスコットが落ちている…。
「どうしてあんなとこに……!」
…そうか、さっき鎧を斬られた時に…。
ヤツがマスコットに触れる。
「!…それに、触るなあっ!」
弾丸が勢いよくヤツの顔面に直撃する。高い金属音と共に、ヤツの顔面に残った鱗が砕け落ちる……
「え……」
嘘だ…
「なんで……」
嘘だ、嘘だ。
「ナル?!」
剥がれ落ちた鱗の下から現れたその顔は、ナルと瓜二つ…否、ナル本人…。
考える暇もなく、ヤツはこちらへ斬りかかる。反射的にアーレで受けるが、武器を飛ばされ、体勢を崩し、組み伏せられた。
「ご、ご主人様にな、何するニャー!」
猫は手に持ったハンマーで殴りかかるが、尻尾であっさりぶっ飛ばされ、気絶する。
「バカ!…く…」
相手の力が強くて動けない。突如ナルの顔をしたモノが口を開く。
「久しいな…」
重々しく響くそれはナルの声ではない。
「我を覚えているか…」
ヤツが喋り出した事に戸惑う。
「…我は紅龍。お前に倒され、人間共にその身を切り裂かれた神だ」
私は無言でいる。
「何の因果か…お前達人間の手によってこの様な穢らわしい姿に堕とされ、またお前とあい見えている」
ヤツの吐いた言葉にイラッとする。
「一度死んだとて、何れ我は蘇るが…しかし、我を信奉する人間は、我を蘇らせるため、我が肉塊を生物に与え、内から我に喰わせる事で我の復活を早めようとした」
背筋に怖気が走る。
「我を喰った生物は…どれもお前に殺された。その体が我のものとなる前に」
私は口を開く。今最も私に重要な事を聞くために。
「キミの…その姿はどういう事」
ヤツは鼻を鳴らす。
「我を喰らった飛竜の一匹が我と共にある人間を喰らった…」
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