その8 ヤクソク

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「何…。」 思ったより効いているのか…、慎重に動向を探る。 「ん…」 ヤツの足元にプーギーのマスコットが落ちている…。 「どうしてあんなとこに……!」 …そうか、さっき鎧を斬られた時に…。 ヤツがマスコットに触れる。 「!…それに、触るなあっ!」 弾丸が勢いよくヤツの顔面に直撃する。高い金属音と共に、ヤツの顔面に残った鱗が砕け落ちる…… 「え……」 嘘だ… 「なんで……」 嘘だ、嘘だ。 「ナル?!」 剥がれ落ちた鱗の下から現れたその顔は、ナルと瓜二つ…否、ナル本人…。 考える暇もなく、ヤツはこちらへ斬りかかる。反射的にアーレで受けるが、武器を飛ばされ、体勢を崩し、組み伏せられた。 「ご、ご主人様にな、何するニャー!」 猫は手に持ったハンマーで殴りかかるが、尻尾であっさりぶっ飛ばされ、気絶する。 「バカ!…く…」 相手の力が強くて動けない。突如ナルの顔をしたモノが口を開く。 「久しいな…」 重々しく響くそれはナルの声ではない。 「我を覚えているか…」 ヤツが喋り出した事に戸惑う。 「…我は紅龍。お前に倒され、人間共にその身を切り裂かれた神だ」 私は無言でいる。 「何の因果か…お前達人間の手によってこの様な穢らわしい姿に堕とされ、またお前とあい見えている」 ヤツの吐いた言葉にイラッとする。 「一度死んだとて、何れ我は蘇るが…しかし、我を信奉する人間は、我を蘇らせるため、我が肉塊を生物に与え、内から我に喰わせる事で我の復活を早めようとした」 背筋に怖気が走る。 「我を喰った生物は…どれもお前に殺された。その体が我のものとなる前に」 私は口を開く。今最も私に重要な事を聞くために。 「キミの…その姿はどういう事」 ヤツは鼻を鳴らす。 「我を喰らった飛竜の一匹が我と共にある人間を喰らった…」
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