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さて問題はどうやって寄生虫だけを潰すか…。ヤツを捌きながら辺りを見回すと、
!!気絶した猫のポーチから龍殺しの実がはみ出ているのが見えた。(いつの間にかいいもの採ってるじゃない!よし、アレを…)
「我は二龍が一柱…その我に二度の負けは無いぃぃ!」
ヤツが怒りに任せて刃翼を振り回す。前転してすり抜け、猫に向かって走る。
ヤツが、反転して突っ込んでくるが、反転した分私より遅い。
猫をひっつかみ、大きくダイブ。ヤツは勢いのままに突っ込んでくるため、すぐに止まれない。
「怒りで単調になってるね…」
今しかない。龍殺しの実をかばんから引っ張り出し、気絶したままの猫を全力で隣のエリアの方へブン投げる。
そして素早くポーチのカラ骨と組み合わせ、手慣れた手付きで滅龍弾を作る。
またヤツが真っ直ぐこちらに向かってくる…。
私も立ち止まり、真っ直ぐヤツを見据える。
アーレは飛ばされているし、そもそもアーレには滅龍弾は装填できない…しかし!
「とっておきの虫下しよ…!」
親指で滅龍弾を上に向かってキィン、と弾く。
「ナルのカラダから…出て行きなさい!!こんの……寄生神ぃぃぃぃっ!!!」
落ちてくる弾丸の薬莢部に、回転斬りで夜天連刃の刃を撃鉄としてぶつける。
火花が散り、中の火薬が爆発を起こし、弾頭が放たれた。
真っ直ぐ突っ込んでくるヤツの頭部に命中、はじけた弾頭から龍を殺す黒い電撃の様なものがヤツの全身を貫く。
断末魔の悲鳴をあげ、ヤツが倒れ込む。
「やったの…?」
落としていたアーレを拾い、近づいた。
ゆっくりと起き上がり始める…。
「う…リン…?」
ナルの声。ほっとする。
「私、思い出せた…すごい…」
涙を流すナルに、言ってやる。
「したでしょ?約束。思い出させるって」
「うん…うん…」
うつむいて泣くナル。それを見て安心していた…。
「ありがとう…良かった…私…私のまま、死ねるんだね…」
ナルの口から飛び出したそれに、私は再び言葉を無くした――。
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