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「やはり強いな、お前は…」
私はアーリィの言葉を遮る。
「…知ってたんでしょ?このこと。」
私からの鋭い視線を受け、アーリィは答える。
「…ああ、全て私の仲間が見ていた。」
「その上で、私にやらせた訳ね…やっぱ苦手だわ…キミ。」
アーリィが深々と頭を下げる。
「…どういう形にせよ、お前に決着をつけさせねば、と思ったのだ。…すまない。」
「…そうね。ありがと。」
アーリィは苦笑し、何かの合図を出した。すると、忍び装束に身を包んだ連中が現れる。
「この件を起こした者を、連れてきてある。」
ハッとする。忍び装束に囲まれているのは……始めに私に迅竜を追い払う依頼をよこし、マリを連れて村に来た旅人…。
「この男は旅人等ではない」
「こいつは邪龍を崇める邪教の教団員だ。あの龍を狩ったお前に報復する為、紅龍の肉塊を持ち出し、それを復活させてお前に報復をしようとしていた。…この戦いを隠れて監視していた所を捕らえる事が出来た」
込み上げる感情を抑え、男を見つめる。
「ふふ…また会いましたね。リンさん。どうでした?私の造った神の力は」
男を黙らせようとするアーリィを止める。
「色々試したんですよ?クシャルダオラにナルガクルガ。ああ、フルフルなんてのも。実は他のハンターに狩られてしまったものも大分いたんですが…ふふふ」
「そして、そこの形容し難い化物。そこの化物は素晴らしかったですよ。あなたに倒されてしまいましたが…あなたへの報復としては十分でした」
下衆な笑い声をあげながら男は喋る。
「どうでした?苦しかったでしょう?あなたが滑稽に化物に愛情を注ぎ育てるのを、ずっと観てましたから…解りますよ、その苦しみは。」
そして男はまた高く笑い声をあげる。
「ちょっとうっさい」
私は一つ大きく息を吐き、死なない程度に拳を振り下ろす。
男は地面に顔から叩きつけられた。
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