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登山の時はいつもの編隊で歩くのがサークルの決まりだった。
その編隊は部長の雅人が先頭に、副部長の依子が最後尾から、残りのメンバーは学年順に一列に並ぶというルールが決められている。しかし、毎回の事なのだが徹弥だけは編隊を組まず、1人で黙々登っていた。
「徹弥さん相変わらずだよな?」
大翔はふと前を歩く由里菜に声を掛けるが、
「……………………」
返ってくるのは沈黙だけだった。
ガックリ肩を落として足を進めていると、
後ろからちひろの明るい声が聞こえてきた。
「ねぇ見た?純也。大翔さんまたフラれてるよ。」
語尾に(笑)と入りそうな感じで純也に伝えている。
大翔はちひろに向かい、
「ちげーよ!!」
と怒りを込めて言ったが、言われた側のちひろは
「あっ聞こえちゃってたか。すいませーん。」
とおちゃらけた様子で言い放つ。
その後ろでは、2人のやり取りを見た純也がおろおろと困り果てていた。
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