-Prologue-

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 握った杖は蒼き閃光を前方一点に収束しつつ、使い手たる主の命令を待ち続ける。  瞳の中心に見える十字線の回りを四角に囲まれた敵の影が飛び交う。  ゆっくり。  ゆっくり十字と四角を重ね合わせ、完全に重なったその瞬間、 「アクエリアス」 《──Buster!》  収束した閃光が解放され、轟音と爆音を引き連れ夜の空を二つに断ち斬る。  そしてその閃光は、狙い違わず黒き魔獣を包み──炸裂した。       ●  既に風は無く、宙空にたゆたう少女は炸裂した閃光の終点を見上げ続ける。  残光の中からゆっくりと魔獣だった影が、静かに、ただ静かに落ちてきた。 《Katharsis mode Set up.》  杖の先端飾りが開く。  そこから青の光、先程のものとは違う優しい青が放たれた。  水瓶から蒼を讃えた水が吹き零れるよう、静かに異形の獣を包み込み、 《Standby ready.》 「デモンズブラッド──浄化」 《Katharsis!》  その身の闇を、浄化した。
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