魔法少女リリカルなのはＡＱＵＡＲＩＵＳ

－Ｐｒｏｌｏｇｕｅ－

　ゆっくりと公園に降り立った少女は、先程までの魔獣──小さな子犬を抱き抱えたまま、濃青の海を見つめていた。

「また、ハズレでしたね」

「……ああ」

　２人──正確には１人とひよこ１匹はそんな会話を交わしたが、それ以降押し黙ってしまった。

　ざ……ざぁ、と海から流れた風が少女の紫の髪を揺らす。

　それと同時。
　少女は頭上のひよこを片手に乗せ、柔らかく微笑んだ。

「帰りましょうか、〝ディー〟さん」

「そう……だな。帰るか、〝すずか〟」

　これは〝もしも〟の物語。

　私立聖祥大付属小学校３年生、月村すずか。

　紆余曲折、色々あって〝魔法少女〟やってます。