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カリカリ……
カリカリカリカリ……
うーん。
何の音だよ。うるせぇな。
ふと目を開けると、俺の腹の上にいたネコがいない。
「?」
カリカリ……
キッチンからするその音。
俺は笑顔になる。
「にゃ」
キッチンを覗くと、床にキャットフードが散らばっていた。
それを食べるネコがいる。
『復活』
ウィンクしたように見えた。
念のため、病院に連れて行く。
「ふ……む」
先生はアゴを撫でながら、俺に向き直る。
「低下していた、内臓の機能が回復してるねぇ。うん」
「愛の力ですかね」
「………」
しばらくは、大丈夫だって。いやいや。良かった。
「明日から仕事に行くかな?お前、一人で平気か?」
安心した。本当に。
『その前に、アレを終わらせないか?』
助手席のネコは、俺を見つめる。
「お前にはかなわん」
そうだな。
いつまでも、このままじゃいけない気もするし。
ここ1年で、俺も変わった。
あいつも変わっただろうけど。
「うまく行くかな?」
『神のみぞ知る……だな』
そこはフォロー無しかよ。
気休めぐらい言えよな。
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