226人が本棚に入れています
本棚に追加
「相棒!」
玄関を開ける。
おかしいな。
いつもなら、返事するんだけど。
猫缶の入った袋を、下駄箱の上に置く。
「ネコ……?」
ソファの定位置で、動かない相棒がいる。
ちょっと待てよ。
よく見てみると、腹は上下運動している。よし。生きてるな。
「大丈夫か?」
そっと頭を撫でると、閉じていた目をゆっくり開けた。
俺はそのままネコを抱えて、あの病院に走った。よくわかんないけど、まだ死んでもらいたくない。
「うーん。歳が歳だからねぇ……。老衰……だな」
一応、点滴を打ってもらう。
ネコは目を閉じて、じっとしていた。
老衰か。
いつ死んでもおかしくない。そう言いたいんだろうな。
結局、病院では何もできず、元気のないネコを連れて帰る。
「あ!もしもし?俺。あのさぁ……」
母さんに電話をした。
俺が仕事に行ってる間、ネコを看ていて欲しかったから。
「どうしたの?セイジが猫!?」
驚く事……だよなぁ。
昔から俺は、動物を飼いたいって言わなかったし。
服に毛が着くのが嫌だから、犬や猫のそばには行かなかったからなぁ。
最初のコメントを投稿しよう!