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『君は変わったな』
ネコが不意に、俺の膝に手をかけた。
『今の君になら、あの娘を任せられそうだ』
ネコに許可出されるなんて、夢にも思わないだろ?
俺、そんなにダメ男だったのか?
「今日はもう寝よう。元気になってもらわないと、俺も寂しいからな」
携帯を開いて、待受をはじめて見せる。
こいつを拾った時、ユキの顔が浮かんだんだ。はじめて会った時の。
こいつと話をしてる姿とか。ユキはネコが好きだったから、こいつをちゃんと看る事で……ユキへの罪滅ぼし。そう考えてた。
「だけどな……。今は俺にとっても大事な存在だ」
だからよ。もう少しがんばってくれよ。
ソファで横になり、腹の上にネコを乗せる。タオルケットをかけて、目を閉じる。
『もう少し。お前さん達の為に……頑張ってもいいぞ』
眠りに落ちる中、そんな声が聞こえた気がした。
「……あれは嘘か?」
ネコはここ2日間。水を飲む以外は、ソファの定位置で眠り続けた。
このまま逝かれちゃ、俺は……。
ネコのかたわらで仕事をした。空いた時間は、ネコを撫でて励ました。
そして3日目の朝。
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