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亜美は黙ったまま、何の情報もなく1日が過ぎた。 事件発生から3日。1月3日だ。 正月明けとなると、家に籠っていた人間も外に出てきて、人の動きも活発になってくる。 朝、敦子と滝沢は、定刻通り亜美の泊まるホテルに来た。 部屋のブザーを押す。 中でブザーが鳴る音がするが、誰かが出てくる気配がない。 警護の人間がいるのに…。 「荒木さん…」 滝沢が不安そうな声を敦子に掛ける。 敦子は慎重に頷き、腰に手を伸ばす。 滝沢もそれに習い、腰の銃の柄を握った。 滝沢は、ドアのすぐ横に背中をつけ、敦子はドアノブに手をかけ、ゆっくりとドアノブを回した。 カチャ… 鍵はかかっておらず、シンと静まり返っている。 そこまでの動作は極めてゆっくりとやっていたが、2人は弾いたようにそこから中に入った。 部屋の中に銃を向けるが、物音1つしない。
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