27/113
2615人が本棚に入れています
本棚に追加
/562ページ
夕方、紀香と宗吾はホステスが出勤してくる時間を狙って、被害者女性の店の前に立った。 看板にまだライトはつけられていないが、夜になればネオンがチカチカとしだすのだろう。 「あれ~?オニーサン、そんな可愛いコ連れてこんな所にどうしたの?」 店に入ろうとする2人を、よくいそうな格好のチンピラが割り込んだ。 「仕事で来てるんだ、退いてくれないか?」 チンピラが紀香の前に立ったので、わざと宗吾は割り込み、威圧的にそう言った。 「やだなあ、オニーサン、総神会って知らない?オレ、これでもそこの人間なんだよねぇ…。」 宗吾の脅しが効かない程、鈍感なチンピラはそう言った。 総神会とは、ここら一帯をしめる暴力団系で地元の人間や警察の人間ならそれくらい知っている。
/562ページ

最初のコメントを投稿しよう!