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逃げ口上のチンピラを見ている宗吾はどこか楽しそうである。
「じゃ、じゃあ、刑事さんっお気を付けてー!」
とチンピラは手を振り逃げようとした。
「おい、待て。」
と宗吾がそれを止めた。
「ま、まだ駄目ですかぁ?」
チンピラはおどおどと情けない声で怖そうに宗吾を見上げた。
「携帯。番号教えろ。」
「えっ?」
意外な言葉にチンピラは目を見開いた。
「捕まりたくなかったら、速くしろ。」
「は、はあ…」
軽く職権乱用する宗吾に素直にチンピラは携帯を取り出し、赤外線で送った。
番号を送っている間、宗吾はチンピラに聞いた。
「名前は?」
「…立川、立川修二です。」
「歳は?」
「19。」
そこで赤外線が終わった。
「そうか。俺は高嶺宗吾だ。」
そう言った宗吾はチンピラ改め、立川修二に自分の名刺を渡した。
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