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「まさか、そんな、嘘でしょ…?」
やっとの思いで村上が口を開いた。
桐島はまだ声が出ずにいる。
「いえ…確かにこの写真のお二人です。」
きっぱりと宗吾が言い切る。
宗吾は次に、当たり障りのない程度に2人に事件の概要を伝えた。
村上は弁護士といえども、企業を相手にする弁護士で、殺人事件などは経験がないのだろう。
目を泳がせ困惑している。
「誰が…?」
やっとの思いで絞りだした声で桐島は宗吾に聞いた。
「まだ…犯人の目星さえ…。」
宗吾が語尾を濁らすと桐島はやっと現実を受け入れられた。
「そんな…彼女は…彼女はとても優しい子だったのに…。」
そう言って桐島は客用のソファーに項垂れた。
紀香は何も言わずに数歩下がった所で宗吾たちのやり取りをうかがっていた。
村上は頭を抱える桐島の肩に優しく手を置いて宗吾を見据えた。
「今日はこれでお引き取り下さい…事件を早期解決したいのはわかりますが、今は話が出来る状態では無いと思いますから。」
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