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村上の意思の強さと、弁護士という肩書きに宗吾は承諾せざるおえなかった。 警視庁のオフィスに戻ると、一課の課長、沢尻に今井と西田、それに花房までが異国のオフィスに来ていた。 「ああ、戻ったか…。」 沢尻が2人の姿を見て疲れた面持ちで言った。 宗吾が少し沢尻に頭を下げ、同じように紀香もした。 「どうしたんですか?こんなに揃いも揃って…。」 訝しげに宗吾は一課の4人を見渡した。 紀香は興味無さげに自分のデスクに座る。 その紀香を花房はギッと強く睨んだ。 花房が紀香を一方的に敵対視しているのは周知のことだった。 「いや…そっちにも事件があるのは知っているが…。一度、橘に会って欲しい人間がいるんだ…。」 言いづらそうに沢尻は言った。 「橘に?」 宗吾は首をひねり、沢尻の横の椅子に座る丸山わ見やった。 丸山はチラリと宗吾を見てから、 “聞いてやれ。” と言うように頷いた。 宗吾もそれに小さく頷き返し、沢尻の方にに向いた。 「お話を聞いてからでいいですか?」 .
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