55/100
前へ
/562ページ
次へ
「だったら、はやく説明しろ、橘。」 子供のように文句を言う紀香を、宗吾が呆れながら促す。 「橘、落ち着け。ちゃんと話さねーと、お局が五月蝿いぞ。」 矢島が小声で紀香に耳打ちした。 “お局”に反応した敦子がギンッと睨み、矢島は「うひょっ」と肩を上げた。 「話さなくても構わない、と目撃者の亜美ちゃんに言った後に、私は、しっかりと言いました。」 口を尖らせて、紀香が話始めた。 「何を?」 と敦子が強く問う。 「目撃した事を、しっかりと話さないのは…犯人を庇う行為だと…。」 紀香はそこまで言い、息を1つ吐いた。 「犯人を庇うということは…あなたが母親を殺したということだと…。」 そう言った紀香の目と合った瞬間、敦子は何も言う気をなくしてしまった。 .
/562ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2618人が本棚に入れています
本棚に追加