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「だったら、はやく説明しろ、橘。」
子供のように文句を言う紀香を、宗吾が呆れながら促す。
「橘、落ち着け。ちゃんと話さねーと、お局が五月蝿いぞ。」
矢島が小声で紀香に耳打ちした。
“お局”に反応した敦子がギンッと睨み、矢島は「うひょっ」と肩を上げた。
「話さなくても構わない、と目撃者の亜美ちゃんに言った後に、私は、しっかりと言いました。」
口を尖らせて、紀香が話始めた。
「何を?」
と敦子が強く問う。
「目撃した事を、しっかりと話さないのは…犯人を庇う行為だと…。」
紀香はそこまで言い、息を1つ吐いた。
「犯人を庇うということは…あなたが母親を殺したということだと…。」
そう言った紀香の目と合った瞬間、敦子は何も言う気をなくしてしまった。
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