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フロアの休憩所のソファーで紀香は暖かい缶のココアを飲んでいた。 スッと、何気なくその隣に矢島が座った。 「やけに今日は機嫌ワリィじゃん。」 と言って、今しがた買った缶コーヒーを開ける。 ブラックコーヒーの香りが辺りに漂う。 「矢島さん、ブラック飲めるんだ…」 紀香が感心する。 「当たり前だ。お前、人をガキに見すぎだろ?」 「だって矢島さん、ガキじゃん。」 「あ?」 「ほら、警察学校で覚えてます?夏、清掃時間なのに暑いからってホースの水で遊びまくって…」 「ああ!!」 缶を持った右手の人差し指を、矢島は器用に立てた。 「グランドをべちゃくちゃにするわ、会議に行く校長を濡らすわ…。」 「ほら、ガキじゃん。」
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