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一瞬の出来事の筈なのに、どうして人間の目にはこんな時、ゆっくりに見えるのか。
静かに、素早く学校内を見て回る宗吾に、小さな喧騒が聞こえた。
喧騒の方に銃を構えながら走る。
この校舎は、細長く出来ているようで、向こう側の階段まで行ってこっちに帰ってくるのには時間を要した。
教室から千鳥足の亜美が出てくるのを見て、宗吾は思いっきり走った。
亜美も宗吾の姿を見て力の限り走った。
「大丈夫か?」
走ってきた亜美の肩を掴んで聞くと、亜美は「オネーサンが…」と弱々しく言った。
亜美が出て来た教室に入った。
永井が、渾身の力を込めて紀香にナイフを降ろそうとしていた。
紀香…。
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