154人が本棚に入れています
本棚に追加
「…」
忙しなく動く指先をじーっと見つめる。
その指にはシャーペンが握られていてさっきから字を書き続けている。
向かい側に座る私は肘をついてそれ眺める事にした。
用事も持たないから帰るもこともできたが、今は彼女の仕草を見る方が私の用事になった訳だ。
この綺麗な指の持ち主はみんなのアイドル的存在にして私の友人、名前は一ノ瀬愛海と言う。
私が自慢する事じゃないが常に告白されるモテモテな女の子。
しかも男女関係なくモテる。
だけど私はマナだけはそんな目で見たくない。
ずっと友達のままでいたいから。
近いようで遠い距離が一番傷つかないんだ。
「そんなに見られると勉強しずらいよー」
と、困った顔で微笑むマナ。
しかしその笑顔は一瞬で教科書に隠されてしまう。
…ああ可愛い。こりゃ誰も黙っちゃないわ。
教科書を取り上げてマナの顔を見たいけど、私が悶絶しそうだから止めとこう。
鼻の上の眼鏡を上げてもう一度マナを見る。
こんなマナを見るといつも頬の筋肉は柔らかくなり、目を細めて微笑んでしまう。
自分でも気がつかないうちに笑ってるから不思議だ。
最初のコメントを投稿しよう!