炭酸少女

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腕の時計を見ても下校時間には程遠かった。 さて、本当になにしようか。 「ね、チヨちゃん」 マナは私をそう呼ぶ。 私の本名は松下千代子といって、可愛いというより埃被った古き良き響きだ。 「今好きな人とか…いる?」 そう言って真剣にメモの用意をするマナ。 いったい私の何をメモる気でいるのかは知らないけど、絶対役に立たない情報だと思う。 …でも聞かれたからにはやっぱ答えないと。それに答えられない質問でもないしね。 私はちょっと考えるフリをしてから「いる…かな」と答えた。 「誰々?私の知ってる人?!」 「ヒミツ。アタシのは実らないからマナは自分の恋を考えなよ」 「絶対実るよ。チヨちゃん綺麗だし格好いいもん」 そんなこと言われたらお世辞でも嬉しい。 で、この勢いで目の前にいる可愛い女の子が今一番好きだって簡単に言えたらいいんだけどね。 私には言えんわ。 関係が壊れるとか単に根性無しってのもあるけど、マナには好きな男がいる。 優しくて格好いい人だ。 …あの人ならマナは幸せになれそうだし私も心配はしていない。
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