死にたがりフラミンゴ

7/8
前へ
/62ページ
次へ
――――… 近所のスーパーに着く。 夕方の為か、割と賑やかだった。 「フラミンゴ、なに食いたい?」 そう問うと、少女は驚いたような顔をした。 「え? 私のご飯買いにきたの?」 「そうだけど?」 さも当然のようにいうと、苦い顔をして少女の目線が左右にさまよう。 何か考えているようだ。 食べたいものを考えているのかな、と予想したのだが、その予想は外れた。 「あ……い、いらない、食べない」 「なんで? ただでさえ細いのに、食わないとなくなるぞ?」 ちゃかすようにいったが、俺は真剣だった。 ずっとあの場所に荷物も持たないでたたずんでいたなら、きっと少なくとも一日はなにも口にしていないのだろう。 なのに、なぜ少女は拒むのか。 思案する俺に、小さな声で返事をする少女。 「……食べることは生きること、だからいらない」 そうか、それでか。
/62ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10人が本棚に入れています
本棚に追加