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――――…
近所のスーパーに着く。
夕方の為か、割と賑やかだった。
「フラミンゴ、なに食いたい?」
そう問うと、少女は驚いたような顔をした。
「え? 私のご飯買いにきたの?」
「そうだけど?」
さも当然のようにいうと、苦い顔をして少女の目線が左右にさまよう。
何か考えているようだ。
食べたいものを考えているのかな、と予想したのだが、その予想は外れた。
「あ……い、いらない、食べない」
「なんで? ただでさえ細いのに、食わないとなくなるぞ?」
ちゃかすようにいったが、俺は真剣だった。
ずっとあの場所に荷物も持たないでたたずんでいたなら、きっと少なくとも一日はなにも口にしていないのだろう。
なのに、なぜ少女は拒むのか。
思案する俺に、小さな声で返事をする少女。
「……食べることは生きること、だからいらない」
そうか、それでか。
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