鼈甲甲羅

2/7
前へ
/62ページ
次へ
がさがさ スーパーの袋がすれていく小気味悪い音をさせながら、とっぷりと暮れた町を歩く。 フラミンゴは、いまだに不服そうだった。 少しうつむきながら俺の横をよたよたと歩いている。 あまりにも沈黙が続くから、暗さも相まってか、耐えられなくなってフラミンゴをからかうことにした。 「おい、お菓子一個っつったのがそんなに不満か」 ふっと弾かれたようにフラミンゴは俺の方をみた。 「え? うん?」 「あ、いやなんでもない」 あわてて繕う俺。 フラミンゴは全く話を聞いていなかった。 ということは何かが不服なんじゃなく、何か考えていたのか。 「…………」 そしてまたうつむき始めるフラミンゴ。 何だろうか。 その後はそのままどちらもしゃべらず、ただ黙ってくらい遊歩道を歩いていった。
/62ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10人が本棚に入れています
本棚に追加