死にたがりフラミンゴ

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――……畳んだ段ボールを脇に抱えた少女が、ぺたぺたと後ろをついてくる。 俺は携帯電話を片手にその音を聞いていた。 打ち上げは断ることにした。 電話口の神経質な女の子は怒り狂っていて、きっと次は呼んでもらえないだろうな、などと思っていた。 まあ、それよりも重大な問題が目の前にあるわけだから、なりふり構ってなど居られない。 素足のまま砂利を歩く少女。 俺の歩調にあわせようと一生懸命にぺたぺたと歩く。 少女は文字通り身一つだった。 荷物らしい荷物も持たず、聞けば昨日からあの場所で誰かが来るのを待っていたという。 春半ばとはいえ、夜は冷えるだろうに。 「……なあ、」 少女に問いかけようとして俺は止めた。 いや、よそう。 本当ならこのまま少女のうちに帰してやるのが一番いい。 だが少女は自分のことをけして語りはしないだろう。 小さくつぶやいただけつもりだったのだが、俺の声が耳に届いたらしい、少女はこちらを少し見たようだ。 小さな視線を背中に感じた。
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