誕生

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美涼が指差す先に置いてあったゲーム機。不思議なことにコードもプラグもなく、あるのは本体と古びたROMカセットだけだ。 しかしご丁寧なことに、近くにはテレビまである。 (……これは怪しい。) きっと、そう思ったのであろう、銀と美涼はその場から動きもしない。 …だが、人知れず意味のわからない思考の持ち主のB型二人組は、だだっ、とゲーム機に走り寄った。 「やべぇ、古いヤツじゃん」 「カセット意味不~」 とんに続き、グァバもゲーム機をまじまじと見つめながら、そう言った。 「電源つけちゃえ」 好奇心のあまりに、グァバがスイッチに人差し指を伸ばす。 「おい、それコントローラついてねぇんだけど――」 俺の言葉よりも早く、スイッチが入れられた。 「え―…?」 グァバが焦ったように俺のほうを振り向く。 …が、時は既に遅し。 俺達は得体の知らぬ光に包まれた。
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