第七章 関東大会

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その日から関東大会まで健吾は怪我のことをみんなに黙っていた。 心配されたくない訳じゃない。 止めて欲しくなかったんだろうな でもそんなことをしていれば怪我は悪化するだけ。 健吾の怪我を知ってから一週間くらいして、医者に俺が無理矢理連れていった。 その時には『軽い肉離れを起こしてる』って言われて、全治1ヶ月って言われた。 流石にドクターストップで諦めると思っていた。 それなのに健吾が医者に聞いたのは解決法じゃなくて… 『仮に本気で走れるのはあと何回くらいですか?』 『…二回くらいだろう。でもそんなことしたら君はもう二度と走れなく…』 『ありがとうございます』 本気の目をしていた。 こいつは美香ちゃんのために己の身体を犠牲にしようとしてる。 俺は何も言えなかった… もし俺が健吾の立場だったら同じことをしていたかもしれないから… 共感が持ててしまったからだと思う。 そして関東大会当日…
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