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透「健吾!」
俺はこれから走る健吾を止めた。
健吾「ん?」
透「頼むから棄権してくれないか? 予選はなんとかなったけど…決勝は…」
直前になって俺もようやく健吾を止めることが出来た。
予選の走りを見ていたからかもしれない。
あのちょっとだけぎこちない走りを…
健吾「透!」
透「?」
健吾「俺は立ち止まれないんだ。約束があるからさ。正直足痛てぇよ。めちゃくちゃ痛てぇよ。…それでも果たさなきゃいけない約束があるんだ」
満面の笑みを見せて健吾は言う。
そして走り去って行く。
透「健吾!!」
俺は少し大きな声を出して呼ぶ。
それに応じて健吾も再び向き直る
透「最高の走りを見せてくれよ!!」
健吾「…あぁ!!」
ホントは止めるべきだったのかもしれない。
でも…
あいつのあんな悲しみが見え隠れしてる笑顔を見たら止められなかった…
…
結果、
健吾は関東大会の決勝で怪我の絶頂が来て、ゴールは出来なかった。
他の人から見たら「関東で恥さらしやがって」とか言うかもしれない。
けれど…
スタンドから見た健吾の走りは…
最高だった。
第七章 関東大会 完
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