2#この手には何も残らず

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 美幸の元気のいい返事を聞いたのは、俺が階段から落ちる一分前のことだ。 「あゆくん、大丈夫ー?」  とっさに受身をとる自分の運動神経に、俺は心底感謝する。 「俺は無事だから来るなっ」  最新の注意を払ったのだけれど、結局皿も割れたし、俺の手には何も残らなかった。
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